持春さんと"徹子の部屋"
持春さんは、少しわがままで神経質な、
この病院では比較的若い層に当てはまるお婆ちゃん。
好きなテレビ番組は"徹子の部屋"だそうで。。。
午後2時頃
持春さん「ねえ、ちょっとあんた、テレビで今"徹子の部屋"やってるからつけてよぉ。」
持春さんは痙攣持で、声はいつも、粒の細かいビブラートがかかったように震えている(僕が働きだした頃は、なにを言ってるのか全く聞き取れませんでした)。
僕「あれ?でも、もう2時だよ?あの番組って、12時からじゃなかったっけ?」
持春さん「なにいってんのよ。2時からよ。いつも私観てるんだから。いいから早くつけてよ。」
僕「低木さん、テレビ借りていい?持春さんが観たいんだってさ。」
持春さんは個人用のテレビを持っておらず、いつも隣のベッドにいる低木さんに借りている。
低木さん「うん、いいわよ」
いつもながら、年齢を感じさせない可愛らしい声で答える。
テレビをつけたものの、結局番組はやっておらず。。。
持春さん「そんなはずないわよ。ちゃんと確認しなさいよ。この嘘つきぃ。」
嘘つきですみません。
なんでも、"徹子の部屋"は以前まで2時から放送されていたのだが、ずいぶん前に12時からに変更されたらしい。
僕「最後に観たのはいつなの?」
持春さん「先週ぐらいよぉ」
持春さんの嘘つきぃ。
このあと、持春さんを説得するのにかなり手こずり、最終的に、これから毎日12時には必ずテレビをつけに来る、ということで許してくれた。