盤尺さんのオムツ交換
盤尺(ばんしゃく)さんは三階の一番奥にいる、少し癖のあるお爺ちゃん。
人を呼びたい時はナースコールを使わず、手を叩いて知らせてくる。かと思えばいきなりナースコールを使って遊びだす。やたらとokayや、alrightなどの英語をつかう。そんなお爺ちゃんだ。
盤尺さんのもっとも厄介なところは、オムツ交換になると暴れて暴力を振るって来るところ。
引っ掻いたり殴ったり、とにかく気がすむまでやりたい放題。
そんな盤尺さんのオムツ交換もだんだんコツが分かってきた。
オムツ交換の時間。。。
部屋の扉を開けると、盤尺さんがギョロっとした目でこちらをにらめつけてくる。
僕「はーい、盤尺さん。オムツ交換のお時間です」
盤尺さん「ありがとう。ありがとう。もういいから、ドアは閉めて行って。」
よかないよ。
僕「はい、じゃあオムツみるよー。」
べしっ
手を打たれた。
盤尺さん「なにするんだこの野郎❗あっちいけもう❗」
僕「ごめんね。いっつもいっつも。これ、すっごく嫌だよね。俺も、嫌がってる患者のオムツ交換するのは嫌なんだよね。。。」
盤尺さん「嫌だよそりゃあ。本当にやめてほしいよもう。」
僕「でもね。僕達ヘルパーも、やらなきゃ行けない義務があるんだよね。盤尺さんの嫌な気持ちはよくわかるんだけど。ちょっとだけ協力してくれないかな。ちょっとだけでいいから。」
盤尺さん「。。。okay」
Thanks, bro.
このあと、盤尺さんは人が変わったように大人しくしていてくれた。